先行き不安なこの時期。
そんな日こそ少し立ち止まって、ゆっくり人生観を考えてみるのはいかがでしょうか。
この記事では、人生の終わりを考えたときどのように自身を見出したか、
登場人物たちの選択や行動が、深く胸にしみる映画をご紹介します。
最後に気づいた一番大切なもの|『最高の人生の見つけ方』
ハリウッドを代表する名優モーガン・フリーマンと、アカデミー賞俳優として知られるジャック・ニコルソンが共演したヒューマンドラマ。
余命宣告を受けた自動車工の老人カーターが、
同じく余命宣告を受けた実業家のエドワードと偶然知り合い、
家族の存在をかえりみずに「人生でやり残したことを実現する」旅にでる様が描かれます。
「しがない自動車工」と「実業家の大富豪」という全く立場の違う2人の友情、
人生最後の大冒険の日々。しだいに自分が本当にやりたいことに気づきます。
旅を通して2人が「本当にやり残したこと」に気づいていくストーリーが最大の見どころです。
出演:モーガン・フリーマン、ジャック・ニコルソン
監督:ロブ・ライナー
公開年:2007年
製作国:アメリカ
人生の終わりへの晴れやかな旅を描く|『君がくれたグッドライフ』
36歳という若さで余命宣告を受けた男性ハンネスが、
妻や友人たちとともに、尊厳死が法的に認められているベルギーに向けて自転車で旅をする様を描くロードムービー。
「若くして病に侵される」という運命を負いながら、
仲間たちとの日々やヨーロッパの豊かな自然の中で明るく過ごすハンネスの姿から、
「生きることそのものを楽しむ」ことの尊さが伝わる名作です。
「尊厳死」という今注目を集めるテーマにもフォーカスを当てた内容で、
「自分の意思で、自分の望むかたちで人生を完結させる」という行為についても考えさせられます。
この作品で描かれるのは「一人の人間の死」ですが、
そこに「人生の完結」というポジティブな意味があるからこそ、爽やかな救いがあるのが印象的です。
ハンネスと妻のキキが2人で過ごす最後の夜のシーンは、「生きる」とは「愛し合う」ことだと教えてくれます。
出演:フロリアン・ダーヴィト・フィッツ、ユリア・コーシッツ
監督:クリスティアン・チューベルト
公開年:2014年
製作国:ドイツ
証言をもとに忠実にエピソードを再現|『タイタニック』
ハリウッド映画史に残る不朽の名作。
一般的には「身分差のある男女の悲劇のラブストーリー」として知られるこの作品ですが、
主人公2人のドラマ以外にも、生存者の証言に基づく乗客乗員たちのエピソードが盛り込まれているのが大きな見どころです。
夫と添い遂げるために避難せず船に残る老婦人。
縋ってくる乗客たちに神の赦しを説く神父。
船と運命を共にする船長。「紳士らしく死のう」と正装をして迫りくる海水に臨む貴族。
それらのシーンは、全て史実に基づいた乗客達の姿です。
どの人物もそれぞれが「どう人生を終えるか」を考えた末に行動していて、
助かる見込みのない極限状態の中でも「自分の人生を自分で決める」という意志の強さを見せています。
不意に人生の終わりが来ても「自分らしさ」を貫く、という行為は、
一人の人間としてアイデンティティを保つ上で、重要なことではないでしょうか。
出演:レオナルド・ディカプリオ、ケイト・ウィンスレット
監督:ジェームズ・キャメロン
公開年:1997年
製作国:アメリカ
「家族」の視点で描く人生の結末|『ハウエルズ家のちょっとおかしなお葬式』
父の葬儀に臨む男性ダニエルを中心に、家族や親族、友人たちの騒動を描くコメディ映画。
親族同士の争いや、生前は明かされなかった父の意外な秘密などが次第に大きな騒ぎに発展し、
思わずクスっと笑ってしまうブラックユーモアがくり広げられます。
真面目で厳格だったはずの父の、あまりにも衝撃的な隠しごとが明かされてからの、
ダニエルたち家族のあわてぶりは、不謹慎と分かっていながらも笑わずにはいられません。
一方で「故人をどう偲び、どう見送るか」というのもテーマのひとつになっていて、
ダニエルたちが父の遺した秘密をどう受け入れ、前に進んでいくかも見どころです。
ダニエルたちのなにげない会話から亡き父を想っていることが伝わってきて、
「最期はこんなふうに見送られたい」と思わされます。
題材は「お葬式」というものですが、「一人の人生のエンディング」としてポジティブに見ることができます。
出演:マシュー・マクファディン、ピーター・ディンクレイジ
監督:フランク・オズ
公開年:2007年
製作国:アメリカ、ドイツ、イギリス、オランダ
「20代での余命宣告」を前にどう生きるか|『50/50 フィフティ・フィフティ』
20代でガンと診断され、「5年後生存率は50%(50/50)」と宣告された青年の闘病生活をユーモラスに描くヒューマンドラマ。
主人公アダムを演じるのは、ゴールデングローブ賞主演男優賞の受賞経験もあるジョセフ・ゴードン=レヴィット。
「闘病もの」のイメージとは裏腹に軽快なコメディに仕上がっている作品で、
アダムと友人たちのやり取りは、思わず笑ってしまう展開の連続です。
一方で、一見穏やかそうなアダムが不意に見せる「死」への不安の表情は圧巻で、
凄まじいまでの葛藤の表現が「突然人生が終わるかもしれない」という状況に直面した心理を疑似体験させてくれます。
生死を決める手術の前日、恐怖で押しつぶされそうなアダムが絶叫するシーンは、
あまりにも悲痛で感情をかき立てられます。
必ずしも「死」のみがテーマというわけではありませんが、
リアルな死が迫る中での生き方を考えさせる作品として必見の傑作です。
出演:ジョゼフ・ゴードン=レヴィット、セス・ローゲン
監督:ジョナサン・レヴィン
公開年:2011年
製作国:アメリカ
さまざまなかたちで描く「人生のエンディング」
「人生がもうすぐ終わる」という場面で、どのように残りの時間を生きるのか。
そんなテーマを持った映画の数々は、「自分はどう生きるべきか」を考えさせてくれます。
ひと休みして何かに浸りたい時、ぜひ今回ご紹介した映画で、自分と向き合ってみてくださいね。
私のおすすめは「聖なる酔っぱらいの伝説」。
ルトガー・ハウアー主演 1988 仏/伊
あらすじ:パリ・セーヌ川の橋の下に寝泊まりしているホームレス、アンドレアス
(ルトガー・ハウアー)は、ある日不思議な紳士(アンソニー・クェイル)から、
日曜の朝に、聖テレーズ像のあるリシューの教会でミサの後に金を返すことを条件
に、200フランを貸してもらうことになるが・・・
50歳 男性 千葉県