高コレステロール値に鍼灸という選択肢

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大月 萌

薬剤師兼フリーライター。 メーカー学術職、調剤薬局での薬剤師を経験したのち2018年より渡独。 主に医療関係の記事を執筆しながら、ドイツの文化を学んでいる。


健康診断で「コレステロール値が高め」と指摘されたら、

食事はどうしよう、薬を飲まなきゃ、など心配になる方もいるでしょう。

 

コレステロール値が気になり始めたら、鍼灸治療という方法もあります。

鍼灸は東洋医学の治療法で、鍼や灸でツボを刺激し体の不調を改善するものです。

なぜコレステロールに鍼灸が効果があるのか詳しく紹介します。

<この記事でわかること>

・コレステロール検査値の種類

・コレステロールの役割

・食事からのコレステロールが血中コレステロール値に与える影響については根拠が乏しい

・鍼灸でツボ刺激することで、血行促進、代謝や免疫力の向上につながる

・鍼灸(東洋医学)は体調の不調(未病)、体質改善にも効果が期待されている

 

コレステロール値が高いと言われたら、鍼灸を取り入れてみよう

血液中の脂質成分はいくつかありますが、

悪玉コレステロールや中性脂肪の値が高い状態を「脂質異常症」と呼びます。

まずは脂質異常症の治療に鍼灸をおすすめする理由について解説します。

 

コレステロールに対する鍼灸の効果

鍼灸は体のツボに鍼や灸をする東洋医学発祥の治療法です。

コレステロール値が高い状態が続くと、血管はしなやかさを失い次第に狭くなって、

血行不良になったり動脈硬化を起こす可能性があります。

 

鍼灸には血行を促進する効果があるため、コレステロールによる動脈硬化を予防すると考えられているのです。

脂質異常症などが原因で罹患する「動脈硬化症」については、

WHO(世界保健機構)も鍼灸の効果を認めているほどです。

 

コレステロールについて正しく理解しましょう

コレステロールについて、

何となく理解しているようで詳しく知らないという方も多いのではないでしょうか。

ここでコレステロールの本質をしっかり理解しておきましょう。

 

コレステロールの検査値の種類

コレステロールは、タンパク質と結合した状態で血液中に存在しています。

検査値はコレステロールが結合しているタンパク質の種類によって分けられ、

それぞれ臨床的な意義が異なります。

 

LDLコレステロール

肝臓から体のすみずみにコレステロールを運ぶ、LDLというタンパク質と結合したもの。

「悪玉コレステロール」とも呼ばれる。

 

HDLコレステロール

血管壁についているコレステロールを回収し肝臓に運ぶ、HDLというタンパク質と結合したもの。

「善玉コレステロール」と呼ばれる。

 

LDLコレステロールが増えすぎ、

あるいはHDLコレステロールが減りすぎていると「脂質異常症」と診断されます。

なお、脂質異常症の診断基準にはコレステロールのほかに中性脂肪の項目もあります。

 

コレステロールの役割

コレステロールは悪者扱いされがちですが、

コレステロール自体は、細胞膜やホルモンの原料となる必要不可欠な成分です。

 

LDLコレステロールには悪玉という別名もついていますが、

体に直接悪さをするわけではありません。

 

大切なのは、コレステロールの値を適切な範囲内でコントロールすることなのです。

 

コレステロールは体内でも合成される

コレステロールは食事からの摂取のほかに体内でも合成され、

食事から摂取するコレステロールよりも、

体内で合成されるコレステロールの方が2~3倍多いです。

 

また私たちの体内では、食事からのコレステロール摂取が多い場合、

体内でのコレステロール合成は少なくなるように調節されています。

 

このような理由から、食事からのコレステロールが血中コレステロール値に与える影響については

根拠が乏しいということが研究でもわかっています。

 

脂質異常症は食事だけでなく

喫煙、生活習慣など複合的な要因で引き起こされることが多く、

さまざまな治療法を掛け合わせる必要があります。

 

コレステロール値が高い人はもちろん食事を見直す必要がありますが、

ほかの治療法と合わせて鍼灸を取り入れてみるのもよいのではないでしょうか。

 

コレステロールに対する鍼灸の力

さまざまな効果がある鍼灸の効果について、そのメカニズムと注目されているポイントを解説します。

 

鍼灸の血行促進のメカニズム

鍼灸では、鍼や灸で体に存在するツボを刺激します。

すると、私たちの体はこの刺激を異物と認識して体内の免疫細胞が活性化し、

異物を除去するために血行が促進されます。

 

血の巡りがよくなることで、コレステロールによる動脈硬化を防ぐ働きがあると考えられています。

また血行促進のほかにも、鍼灸には代謝や免疫力の向上などの効果もあります。

 

鍼灸は予防医学としても注目

鍼灸をはじめとした東洋医学が注目されているのは、

検査値には現れない体の不調、いわゆる「未病」にもアプローチできる点です。

 

西洋医学の治療ではまず不調の原因と突き止め、それを除去するための治療が行われます。

 

一方東洋医学では、病気そのものよりその人の状態にフォーカスするため、

まだ病名がはっきりしていない段階でも、有効な治療法を提供できるのです。

予防医学としての鍼灸は、今後さらに広がっていくでしょう。

 

鍼灸は体質改善に効果が期待される

鍼灸は頭痛や肩こり、冷え症、自律神経失調症など

「病院に行くほどではないけど少し体調が優れない」という状態でも力を発揮します。

 

「体質だから仕方ない」と諦めていることでも、鍼灸なら改善できる可能性があります。

コレステロール値をはじめ、健康が気になり始めた方は、健康維持のために鍼灸を試してみてください。

 

コレステロールが気になり始めたら、鍼灸を取り入れてみよう

コレステロール値が気になり始めたら、

血行促進効果がある鍼灸という治療も一つの方法です。

 

脂質異常症の治療は、まずは医師の指示に従ってください。

そのうえで、鍼灸は予防医学としても注目されているので、これからの健康管理として検討してみてくださいね。

 

<参考サイト>

http://www.j-athero.org/general/colqa.html

https://www.harikyu.or.jp/general/effect.html

https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/cholesterol.html

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