ストレスの根本的な原因を知り、上手にストレスと共存していく
「ストレスマネジメント」。
職場や学校、家庭においても、
誰もが大なり小なりストレスを感じてしまう場面はあるでしょう。
そんなストレス社会に生きる現代人にとって、
今や「ストレスマネジメント」は必須のスキルなんです。
とくに新型コロナの感染拡大に伴い「外出できないしストレスが溜まって限界」
という人も少なくありません。
この記事では、コロナ自粛生活特有の「ストレス」の正体を紐解くとともに、
「ストレスマネジメント」の実践方法について紹介します。
「コロナストレス」の原因は?
新型コロナウイルスの緊急事態宣言は解除されましたが、
まだまだ感染の不安が消えない昨今。
新たなストレスとして「コロナストレス」「コロナうつ」「コロナ疲れ」
という言葉も多く聞かれるようになりましたね。
新型コロナウイルスの感染拡大は、「自粛」という制限によって
私たちのライフスタイルを大きく変えました。
新型コロナの感染拡大に伴う自粛生活に関するある調査では、
4月末時点で全国で7割近い人が「自宅にいる」と回答し、
そのうち8割以上が「ストレスを感じる」と回答しています。
【パイルアップ株式会社2020年4月:全国の1600名の「自宅での過ごし方に関する意識調査」より】https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000058287.html
「ウイルスに感染するのではないか」という不安はもちろん、
外出が思うように出来ないことでストレスが徐々に蓄積され
「コロナストレス」や「コロナストレス」を引き起こしたのでなないかと考えられます。
新型コロナの「第二波」も懸念されているなか、
まだまだ「コロナストレス」や「コロナうつ」を抱える人が増えると予測されています。
「ストレスマネジメント」とは?
「ストレスマネジメント」とは、ストレスの根本的な原因を知って、
上手くストレスをコントロールする方法です。
日常生活のなかでストレスを抱えてしまうのは、
現代社会においては今や避けられない問題ですよね。
特に新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、
長期間の自粛生活でストレスを抱えてしまう人が急増しています。
しかし受けたストレスをそのまま放置していると、
心身にさまざまな悪影響を及ぼすことも。
「ストレスマネジメント」を取り入れて上手にストレスと付き合っていくことは、
ストレス社会において安定した精神力と健康を維持するうえで、
今後ますます重要な課題と言えそうです。
ストレスマネジメントはどんな場面で役立つの?
厚生労働省では、2015年12月より
「従業員50人以上の職場では毎年1回、定期的にストレスチェックを行うこと(ストレスチェック制度)」
が義務化されるほど、国を挙げて職場のストレス対策に取り組んでいます。
また、社員一人ひとりが活き活きと働ける職場づくりを目的とした
「ストレスマネジメント研修」などを独自に行う企業も急増中だそう。
企業への導入はもちろん、教育の現場においても
「ストレスマネジメント教育(メンタルヘルス教育)」を
積極的に実施する例も増えています。
うつや自殺に悩む若者を支援する「特定非営利活動法人Light Ring.」では、
思春期に抱えがちなさまざまな悩みと向き合うストレスマネジメント
「中高生向けメンタルヘルス講座」を全国の中学校や高校で実施。
それ以外にも医療や介護の現場、
災害や今回のコロナによる自粛という状況において
「ストレスマネジメント」があらゆる場面で役立てられています。
「ストレス」の正体を理解しよう
自分で自分のストレスに気づくためには、
まずストレスの正体を知っておく必要があります。
「ストレス」という単語は日常的によく使われていますが、
「知っているようで実はよく知らない」という人も多いのではないでしょうか。
ここでは、ストレスの中身について説明していきます。
ストレスには種類がある
ストレスとはもともと物理学の用語で、
1936年にカナダの生理学者であるハンス・セリエンが発表した「ストレス学説」が語源です。
日本では1950年頃、戦後の急激な社会変化の渦中で
ストレスと言う言葉が使われ始め、バブル期に突入した1980年代に、
一般用語として定着しました。
ストレスとは、外部からのさまざまな刺激(ストレッサー)によって、
自分の心に負荷がかかり「歪み」が生じることです。
その結果、身体的な体調不調が起こることもあります。
厚生労働省は、ストレッサーの分類として、以下の3つを挙げています。
・物理的ストレッサー…暑さや寒さ、騒音や混雑など
・化学的ストレッサー…公害物質、薬物、酸素欠乏・過剰、一酸化炭素など
・心理・社会的ストレッサー…人間関係や仕事上の問題、家庭の問題など
日本においては、昨今のIT化や労働環境の変化などの影響で、
「心理・社会的ストレッサー」については、
心療内科やクリニック、あるいは企業内のメンタルヘルス研修など、
対策は充実しています。
しかし、今回のコロナウイルスにおける自粛要請は、
物理的かつ化学的なストレッサーにあたり、
ある意味「戦いようがない敵からもたらされた」ようなものです。
このような根本的なストレスへの対処は、実はほとんどの現代人は不慣れなのです。
ストレスは外部からの刺激
前述したように、ストレッサーは「外部からの刺激」です。
一見「自宅にいる」という行為は、外部からの刺激とは無縁に思えます。
それにも関わらず、なぜストレスが生じてしまうのでしょうか。
理由としては、「自分の思い通りにならない環境」「自分の意思が通じない状態」で、
自粛を強制されているという状況が、人々に大きなストレスを与えていると考えられます。
つまりは、「見えない相手に振り回されている」と言え、
さらには「従わざるを得ず、どうにも対処ができない相手」という状況が、
余計にストレスを増やしてしまっているのです。
ストレス解消の効果は一時的
ちなみに「ストレス解消」という言葉は誰しも聞いたことがあるでしょう。
テレビ番組でも、自粛の中でのストレス解消を取り上げていることも多いです。
しかし、「買い物をする」「外で運動する」などの発散行動の効果は一時的です。
買い物でぱーっと散財して瞬間的にすっきりした気分になっても、
その効果がずっと続いたという話はあまり聞きません。
しかも自粛生活という環境下では、発散するという行動をも制約をされてしまっています。
「見えない敵に振り回されている」というストレスに対処するには、
「買い物」などという別の刺激で対処するのではなく、
「セルフマネジメント」という根本的な対処方法が実は効果的があります。
普遍的な対処法で、かつ、自分の心次第でストレスコントロールすることができるのです。
今すぐ実践できるストレスマネジメント
ストレスのセルフマネジメントをするには、「認識」と「対処」という
2つのプロセスを経る必要があります。
ストレスを認識する(ストレスモニタリング)
一つ目はストレスを感じている状態を認める
「ストレスモニタリング」という方法です。
方法は簡単で、次の3つの項目を紙などに書き出すだけです。
・今どんな状況(気分)なのか
・何がストレスの原因(ストレッサー)になったのか
・その原因(ストレッサー)で、どんなストレス反応があったのか
これは「筆記開示(ジャーナリング)」という心理療法の一部です。
テキサス大学の社会心理学者、ジェームズ・ペネベイカー教授の調査で、
ジャーナリングによってさまざまなストレス指数が改善するという結果が出ています。
実際に、以下の例のように紙に書き出してみましょう。この作業は5分で終わります。
<その① 今どんな状況(気分)なのか>
・「家族のご飯を作りたくない」
・「狭い空間がイヤ」
・「曜日感覚がなくなった」
<その② 何がストレスの原因(ストレッサー)になったのか>
・コロナで外出できない
・家族のご飯を朝昼晩作らなければならない
・いつコロナが収束するのか分からず不安
<その③ その原因(ストレッサー)で、どんなストレス反応があったのか>
・とにかく面倒くさく気力がなくなった
・自分がダメ人間にように思え悲しくなった
・眠れなくなった
など、それぞれの項目について感じたことを思いつくまま書き出してみてください。
自分の負の感情と向き合うのは、誰しも良い気分はしないものですよね。
しかしモニタリングが終わったあとは
「結局自分は何にイライラしていたのか」という
ストレスの正体が可視化され見えやすくなります。
モヤモヤっとした問題やストレスの原因がクリアになるだけで
だいぶ気分は落ち着くはずですよ。
ストレスに対処する(ストレスコーピング)
次は、正体が見えてきたストレスに対処する「ストレスコーピング」を行います。
前述したように「外出を控えなければいけない」という、
見えない敵に「制御されている」状態を少しでも打破するためには、
「自分で生活や時間をコントロールする」という感覚が大事になります。
具体的には、自宅待機でダラダラと時間だけが過ぎていくのを避けるために、
自分で毎日スケジュールを立ててみることをおすすめします。
生活の中に、どれだけ自分の意思や都合を盛り込むことができるかという点が、
ストレスを溜め込みすぎないポイントです。
毎日やる事は一緒だからスケジュールを立てても……と思われるかもしれません。
そんな時は、今まではチャレンジしたくてもできなかったことに目を向けてみましょう。
テレワークのおかげで隙間時間ができ、「時間があれば〇〇がやりたかった」や
「一度△△に挑戦してみたかった」といった
自分の願望や希望が叶えられるチャンスでもあります。
たとえそれが「ゆっくりテレビを観ること」だったり、
「時間を気にせず昼寝をすること」など何気ないことでも、、
その行動が「自分が本当にしたかったこと」であれば、
ストレスの感じ方や後悔などの自己感情も全く違いますよね。
スケジュールにをあらかじめ「テレビを観る」や「昼寝をする」
という計画を立てておくことで、自主性が生まれストレスを生みにくくするのです。
このように、自粛生活の中であっても、その場の流れではなく、
自分の意思を尊重した自主性(目的)を見つけられれば、
コロナストレスへの対処法にもなるのです。
ストレスコーピングは複数持つ
「ストレスマネジメントでだいぶストレスが軽減された」という人は多いはず。
そうはいっても「まだモヤモヤする」「イライラする」という方もいるでしょう。
そんな時は、セルフマネジメントに加えて、
自分が相性の良いストレス解消法を複数用意しておくのがおすすめです。
ストレスに関する調査によると、
複数のストレス解消法を持っている人の方が「うまくストレス発散できているか」
と実感できていることが分かっています。
【株式会社インテージ(2017年5月:全国の2125名を対象に調査】https://www.intage.co.jp/gallery/stress01/#section2
数少ない決め打ちのストレス対処法しかないと、
仮にその方法でストレスが軽減できない場合、
さらなるストレスやジレンマを抱えかねません。
「この方法がダメだったら、次はコレ」と、
あれこれ自分の引き出しからストレスへの対処法を
取り出せる状態を作っておくとよいでしょう。
適度なストレスは必要?
コロナが去っても、複雑化した社会では引き続き、
さまざまな場面でストレッサーは登場するでしょう。
「会社で業績が上げられない」「ママ友とうまく行かない」「体を痛めた」など、
想像するとキリがありません。
現代社会では、ストレッサーを完全に遮断するのは
不可能と言っても過言ではありませんよね。
しかしストレッサーが何もない穏やかな状態よりも、
適度なストレッサーがあった方が、実は人間の精神衛生上良いと科学的には言われています。
無風の大地に立つ木は、少しの気候変化にも弱いでしょうが、
普段から雨風にさらされた樹木の方が丈夫に育つようなものですね。
まとめ
コロナがいつ収束するかは、いまだ誰にも分かりません。
一生続くかもしれませんし、あるいは他の新たな強靭な災いが
ストレスをもたらす可能性もあります。
世間では「アフターコロナ」から「ウィズコロナ」というフレーズをもとに、
コロナと共存する新しいライフスタイルが確立しつつあります。
ストレスも同じく、完全にシャットアウトしたり、
あるいは全ての原因を排除したりするのではなく、
自分が活力を感じて生きていくためには、
ストレスとうまく「付き合っていく」ことが大事なのです。
今回はコロナというアンコントローラブルなストレスだからこそ、
シンプルかつ根本的なストレスとの向き合い方を解説しました。
「ストレスマネジメント」は一生使えるスキルです。
ぜひこの機会に身につけて、ストレスと共存できる
しなやかな生き方をしてみてはいかがでしょうか。
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ささみさん、こんばんは♪
とても為になるお話でした。私自身は、家庭の事情で、テレワークは出来ませんが、今年4月に管理職になり、仕事のストレスを初めて経験しました。まずは、見える化から始めたいと思います。仕事でも、見える化するとよく言いますが、そうすることで、何が原因なのかが、分かってくるのですね〜良いお話、ありがとうございました(^-^)
コメントどうもありがとうございます。
おっしゃる通りです!「見える化」は、ストレスに限らず問題解決の前提になると思います。
(かくいう私は新米管理職の時は、右往左往の汗かきベソかき状態でしたが。。。)
またよろしければコメントお寄せください。励みになります。
ストレスとうまく「付き合っていく」。
なるほど。まさにそのとおりだと思いました。勉強になります。
良記事ありがとうございました。
コメントありがとうございます。
「付き合う」ことが出来れば、ストレスは良い彼氏・彼女にもなりますよね。
またぜひコメントください。
わかりやすく解説してくださっていて、ストレスについて、理解が深まりました。
ありがとうございます♪
ストレスと共存できるしなやかな生き方ができるように、取り組んでみたいと思います。