新型コロナ感染症対策の一環として、
今や常識となったソーシャルディスタンス(社会的距離)。
リモートワークにより、身近な人間関係が様変わりした、
という人も多いのではないでしょうか。
ハーバード大学の心理学者、ロバート・ウォールディンガー教授らが行った、
成人発達の研究および追跡記録によると、もっとも幸せに過ごして来た人は
「50代までに人間関係を大切にした人々だった」と述べました。
そのため、富や名声を得ることよりも、
自分にとって心地良い人間関係を築くことこそ幸福!
という考え方にシフトする人たちが増えているんだとか。
今の人間関係に違和感があったり、
生き方や考え方を変えたいと考えているのなら、
「人間関係の断捨離」をするタイミングです。
人間関係を断捨離することで得られる、
4つの効果と具体的な方法についてまとめてみました。
断捨離の意味とは?
「断捨離」とは、もともとヨガの「断行(だんぎょう)」
「捨行(しゃぎょう)」「離行(りぎょう)」の3つの行法が由来とされています。
- 「断」…新しく入ってくる不要なモノのを断つ
- 「捨」…今ある不要なモノを捨てる
- 「離」…モノへの執着から離れる
不要なモノを減らすことで、生活の質を向上し心の平穏を取り戻すことが目的です。
確かに、クローゼットの中の不要な服を処分して整理整頓すると、
すっきりとして気持ちが落ち着きますよね。
近年では、断捨離を実践して「モノ」を最小限しか持たない
「ミニマリスト」に憧れる人たちも増えています。
「片付け術 断捨離」で一躍有名になった、やましたひでこ氏のYouTubeや
「ウチ、断捨離しました!」は、特に主婦層に人気です。
コロナで浮き彫りになった人間関係
新型コロナの感染拡大によって「ソーシャルディスタンス」という言葉が生まれ、
物理的に距離を取ることが日常的となりました。
「リモートワーク中心になって職場の人と顔を合わせるのはZOOM会議だけ」
「ランチも前のようにおしゃべりしながら食べるのでなく、前を向いて黙々と食べる」
そんな光景が当たり前。
新型コロナウイルスによる生活と意識の変化に関する調査によると、
5月中旬時点で7割の人が「人間関係が悪くなること、争いやもめごとが起きることが不安」
と答えています。
【第一生命経済研究所2020年5月:全国20〜69歳男女1,000人対象「新型コロナウイルスにようる生活と意識の変化に関する調査より】
http://group.dai-ichi-life.co.jp/dlri/pdf/ldi/2020/news2005_05.pdf
多くの人が、直接顔を合わせる機会が減り意思疎通の難しさから、人間関係が悪化することを
懸念しているようですね。
また、Twitterで行ったアンケートによると
「ごく一部の友人関係が濃く、それ以外の友人関係がだいぶ薄くなった」
「友人にせよ、恋人にせよ、自分の中で今後も関係を続けたい人たちが明るみになった」
と答える人も。
【東洋経済4月:Twitter男女150名によるアンケート】https://toyokeizai.net/articles/-/347658
なんと多くの人が、新型コロナ渦で、会社・友人・恋人・家族関係の整理、
断捨離が余儀なくさたことで、さまざまなしがらみから解放され、
自分らしさを取り戻していたのです。
人間関係を断捨離することで得られる4つの効果とは
今回は、新型コロナという抗えない状況のなか、自然に人間関係が断捨離された、
という人も多いのではないでしょうか。
しかし、たとえコロナ渦でなくても、普段から人間関係を断捨離することは、
悩みを解消したり、今後の人生設計を立て直す上でとても役立ちます。
不要なストレスが減る
会うたびにイライラさせられる友人や、全く価値観の合わない恋人からは、
少し距離を置くことで、不要なストレスをため込むこともなくなるでしょう。
好ましくない人間関係をダラダラと続けることは、
あなたの大切な時間やエネルギーまでも消耗することになります。
最初は、離れることに罪悪感を覚えるかもしれませんが、
気の合わない人に無理に付き合いストレスをため込むほうが、よっぽど悪影響です。
まずは違和感のある人間関係から離れ、自分の心の健康とゆとりを最優先しましょう。
思考がクリアになる
交友関係が増え複雑になるにつれ、人と会う機会も増えますし、
良い交友関係を築かなければと、躍起になったりします。
本当に大切な知人や友人ならば問題はありませんが、
乗り気ではないのに誘われて出掛けたり、
良い交友関係を保つためにいろいろと思考を巡らせるのは、正直億劫です。
今の自分に必要のない交友関係は、この際きっぱりと整理整頓しましょう。
「現段階で特に付き合う必要のない人」「自分にとって大切な人」を
紙に書き出してみてください。
複雑になっていた交友関係を、紙に書いて可視化(見える化)することで、
思考がクリアになりますよ。
生き方や行動を自分の意思で決められるようになる
普段付き合う人の意見や行動は、とても大きな影響力があります。
良い影響力ならば大歓迎ですが、なかには悪い影響力に流されてしまうこともしばしば。
他人のアドバイスや意見を取り入れることはとても大切ですが、
人の意見に左右されやすい人は注意が必要です。
あなたの行動に対して、不要に口出しをしてくる人からは、
少し距離を置きましょう。
他人の意見に振り回されることなく、就職・結婚など、
人生の大切なターニングポイントにおいても、自分で意思決定できるようになります。
新しい出会いが訪れる
人間関係を断捨離すると、ストレスも軽減され、
心にも時間にも余裕ができます。
余裕ができることで、自然と人間関係にも良い流れができ、
新しい出会いも生まれるでしょう。
一見矛盾に聞こえますが、新しく出会うことで、
それまで気づけなかった自分の魅力や才能が見つかることもあります。
断捨離中だからと、すべてをシャットアウトするのではなく、
良縁だと思う出会いは積極的に受け入れる姿勢も大切。
人生の幸福度は人間関係で決まる?!
不要な人間関係を断捨離して、良い人間関係を構築することは、
人生において最重要課題だと言っても過言ではありません。
なぜなら「人生の幸福度は人間関係で決まる」と言われているからです。
前述のロバート・ウォールディンガー教授らの研究は、
75年間724人の環境の異なる男性の人生を追跡し、
彼らが80才になったときに集めたデータにより明らかになったものです。
この研究によると、
「50才で最も幸せな人間関係を築いた人が、80才になって最も健康だった」そう。
つまりは、人生の幸福度は、多くの人が思い描く「富」や「名声」ではなく、
「人間関係」こそ重要だ、という証拠となりました。
上手に人間関係を断捨離する方法
人間関係を断捨離する重要性は述べましたが、
具体的にどのように行えばよいのでしょうか。
上手に人間関係を断捨離する方法について、くわしく見ていきましょう。
違和感のある誘いは優しく断る
気が乗らない飲み会や、ちょっと違和感を感じる誘いは、
ふわっと優しくお断りしましょう。
いきなり「今後一切誘わないでください!」とお断りするのは、
あまりにも唐突です。相手も不快な思いをするでしょう。
「今日はちょっと用事があって…」
「新しく仕事を始めたので、当分は難しいかな」
ぐらいで大丈夫です。
関わることをちょっとずつ避けていけば、
気を遣うこともなく、自然と誘われる回数も少なくなるでしょう。
そっと距離を置く
ストレスを感じてしまう人や、なんでも搾取してくるような、
いわゆる「テイカー」と呼ばれる人からは、
なるべく距離を置くようにしましょう。
とはいえ、会社の上司や同僚など、
毎日顔を合わせる相手であれば、なかなかハードルは高いですよね。
仕事関係の人ならば、仕事以外のことでは関わらないのが、
唯一の対処方法です。
自分以外にも、子供の交友関係にも影響しそうなママ友などは、
こちらからはなるべく連絡しない、話があるときは学校内でのみなど、
自分なりのルールを作っておきましょう。
新しいコミュニティに入ってみる
いざ断捨離をして人間関係がスッキリしたとはいえ、
急に一人きりになって、周りから取り残されてしまったような
気分になる人もいるでしょう。
不要な人間関係を断捨離したら、新しい風を取り込むために、
他のコミュニティに足を踏み入れてみるのもおすすめです。
今まで知らなかった世界が見えたり、
自分の意外な一面を発見できたりもするでしょう。
まとめ
人は誰しも、出会いと別れを繰り返しながら生きています。
気が合わない人とは、こちらが無理に離れようとしなくても、
自然に自分の周りからいなくなるケースも。
「類は友を呼ぶ」と言われるように、周りには似たもの同士が集まってきます。
もしも、人間関係に違和感を感じるようになったら、
断捨離とあわせて、自分の行動や考え方を見直すチャンスでもあります。
ぜひこの機会に、上手に人間関係を断捨離して、人生の新たな一歩を踏み出してみませんか。
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