近頃よく耳にする「マインドフルネス」。
何となく聞いたことがある、という人も多いのではないでしょうか。
ちょっと専門的に言うと、
「今この瞬間に意識を向けることによって現れる気づき」
によってメンタルを鍛えるメソッドです。
マインドフルネスの実践的方法である「マインドフルネス瞑想」は、
現在では医療や福祉の現場、企業研修など、幅広い分野で取り入れられています。
Googleをはじめ、AppleやNikeなど、名だたる大企業が
生産性向上やリーダーシップ向上のために導入していることでも有名ですね。
この記事では、マインドフルネス瞑想がもたらす
驚くべき5つの効果と、実践方法についてご紹介します。
「マインドフルネス」とは?
「マインドフルネス」とはいったいどういうものなのでしょうか?
簡単に言うと「今この瞬間に意識を向けることによって現れる気づき」のこと。
さらに噛み砕くと、心身を整えるメンタルトレーニングメソッドです。
なかでも「マインドフルネス瞑想」は、「NHKスペシャル」
「サイエンスZERO」「ガッテン」などでも紹介され、
誰でも簡単にできる瞑想法として、ここ日本でも注目を集めています。
メンタリストDaiGoさんも、いち早くこの「マインドフルネス瞑想」を
生活のなかに取り入れ、瞑想の仕方をYouTubeで発信したり、
メンタルトレーニングに役立てているんだとか。
「マインドフルネス」の由来
「マインドフルネス」とは、仏教用語サンマ・サティ(正念)に
由来する言葉です。
サンマ・サティは「常に落ちついた心の行動や状態」を意味しています。
仏教における「正念」は、物事の本質をあるがままに心にとどめ、
真理を悟り解脱するための方法として実践されてきました。
「マインドフルネス」は、そういった仏教のエッセンスを取り入れた、
全く新しいメソッドだと言えます。
現在の「マインドフルネス」は?
現在のマインドフルネス・ムーブメントはいつから始まったのでしょうか?
ブームの発端は、アメリカの脳医学博士であるジョン・カバットジン氏が
考案した「マインドフルネス瞑想」を医療分野に取り入れたことにあります。
「瞑想」というと、なんだか宗教的なイメージが強いですが、
ジョン・カバットジン氏が、特に痛みの緩和のために開発した
プログラム「マインドフルネスストレス低減法(以下MBSR)」は、
科学的根拠に基づいた、アメリカではとてもポピュラーな治療法。
この「MBSR」をベースに、現在ではさまざまな治療プラグラムが
確立されています。
たとえば、うつ病患者を対象に開発された「マインドフルネス認知療法
(MBCT)」は、「注意」のトレーニングとして
マインドフルネスが取り入れられた、第3世代の「行動認知療法」です。
また、医療分野以外では、Googleが2007年に開発した
マインドフルネスプログラム「Search Inside Yourself」をきっかけに、
多くの企業が研修プログラムに取り入れられています。
マインドフルネス瞑想はもともと仏教の瞑想法が由来ですが、
心身の健康を保つ健康法として、現在では世界中で認知されています。
マインドフルネス瞑想の5つの効果
マインドフルネス瞑想は、近年科学的なアプローチによる研究結果から、
心身に好効果をもたらすことが、数々の論文で発表されています。
集中力や生産性が向上する
マインドフルネス瞑想をすることによって、
集中力や生産性が向上すると言われています。
「仕事や学習のパフォーマンスを上げたい!」
ビジネスパーソンや学生であれば、誰しも一度は思ったことがあるはず。
そんな時にも、マインドフルネス瞑想は役立ちます。
実際に、カナダのの公立校で生徒99名を対象に、4ヶ月という一定期間、
毎日瞑想を行ったところ、瞑想を行ったグループが、
瞑想を行っていない一般グループよりも、算数の成績が15%高いスコアを
獲得した、という研究論文もあるんですよ。
成績アップだけでなく、ビジネスやさまざまな場面で、
集中力や生産性の向上が実感できます。
不眠解消・睡眠の質が向上する
睡眠中は脳を使っていないつもりでも、
脳内ではデフォルトモードネットワーク(DMN)
と呼ばれる活動が行われています。
「長時間寝たはずなのになぜかすっきりしない」
「寝付きが悪く何度も夜中に起きてしまう」のは、
睡眠中も脳が休まっていない状態にあるからです。
マインドフルネス瞑想をすることで、睡眠時間中はDMNの活動を鎮め、
「よく眠れるようになった」「朝の目覚めがすっきりしてきた」
という報告も多数あります。
不安感が軽減する
不安や恐怖を感じやすい人は、常に交感神経が優位となった状態が続きます。
交感神経は「闘争あるいは逃走の神経」とも言われ、
ずっと体も心も緊張モードです。
緊張状態が常に続くことで、さらに不安を感じたり身体にも影響することが
あると考えられています。
マインドフルネス瞑想は、交感神経を鎮め、副交感神経を
優位にすることで不安な気持ちを軽減すると言われています。
ストレスが軽減する
心身がストレスを受けると「コルチゾール」、別名「ストレスホルモン」が
大量に分泌されます。
コルチゾールの分泌は、ストレスから身を守るための現象ですが、
免疫系・中枢神経系・代謝系など、身体のさまざまな機能に
悪影響を及ぼすとされています。
マインドフルネス瞑想をすることで、「コルチゾール」の分泌が減り、
代わりに「幸せホルモン」と呼ばれる「オキシトシン」が分泌される
ことが論文でも立証されているんですよ。
リラックスできるようになる
不安感が軽減するパートで前述したように、マインドフルネス瞑想は、
カラダをリラックスさせ、副交感神経を優位にしてくれる効果も期待できます。
マインドフルネス瞑想をすることによって緊張が和らぎ、
表情が豊かになったり、スポーツ選手などは高いパフォーマンス効果が
発揮できると言われています。
マインドフルネス瞑想にデメリットはないの?
マインドフルネス瞑想を実践するために、道具などは一切必要ありません。
また自分が好きな場所や時間に行えるのが、多くの人に受け入れられている
理由ですね。
さらに治療法として用いる場合も、投薬による副作用などのリスクもなく、
激しい動きも不要なため、体が動かしづらいという人も簡単に行えます。
マインドフルネス瞑想をすることで、心身に悪影響を及ぼしたという
前例がないため、デメリットはないと考えて良いでしょう。
ただし、疾患などがある人は医師に相談のうえ、
しっかりマインドフルネス瞑想を理解した指導者のもと、
実践することをおすすめします。
マインドフルネス瞑想を実践してみよう
マインドフルネス瞑想のやり方は非常に簡単です。
ただし、実践する時の意識の向け方が重要となります。
今回は、NHKでも紹介されている、ジョン・カバットジン著者
「マインドフルネスストレス低減法」の本の中から、
3つの瞑想法のやり方をご紹介します。
マインドフルネス瞑想のやり方3つ
<静座瞑想法>
「静座瞑想法」は、椅子や床に座りながら行う瞑想法です。
- まずは、リラックスできる場所で、頭と首と背筋が一直線になるよう
椅子や床に垂直に座ります。 - 自分の呼吸に意識を集中しましょう。最終的に30分以上集中できるように
なるまで、少しずつ時間をのばしていきます。 - 呼吸に集中することで、拡散した思考が1点に集中し、何かしらの考えが
浮かんでくるかと思います。その考えに「気づき」ましょう。 - ある思考に気づいたら再び呼吸に意識を集中する、を繰り返します。
最後には意識から解放され、ただ「今ここ」に座っている状態になります。
<歩行瞑想法>
歩行瞑想法は、文字通り歩きながら行う瞑想法です。
歩きながら瞑想できるようになれば、忙しくても瞑想を継続しやすく
なりますね。
- 視線を前方に向けて、普段より少し遅い速度で歩きましょう。
- 1歩ごとに、自身の呼吸や足の裏の感覚、全身の動きなどをよく観察
しましょう。 - 歩くときは、「左足、右足、左足、右足…」と足の動きを感じて、
頭の中で言葉を言いながら集中してみてください。
<ボディ・スキャン>
ボディ・スキャンとは、横たわって体に注意を向けていく瞑想法です。
寝ながら簡単に行えるので、初心者にもおすすめの瞑想法です。
- リラックスできる場所で横になり、目を閉じて呼吸に意識を向けましょう。
- 呼吸に意識を向けたら、体のさまざまなパーツに意識を向けていきます。
- 左足の先から足の付け根→右足の先から足の付け根→骨盤から胴体→
両手の指先から肩→首から顔→後頭部→最後は頭の頂上に意識を集中
しましょう。 - 注意を向けているパーツごとに、感じる微細な感覚や思いなどに
「気づき」ましょう。
アプリを使ってやるのもおすすめ
「うまく1人で瞑想ができない」という場合は、瞑想アプリを使って行うのも
おすすめです。
現在、iPhoneとアンドロイドには、さまざまな瞑想アプリがリリースされ、
世界中で人気を集めています。
なかでも「 Insight Timer 」は、世界中で400万人が愛用する、最も有名な
無料瞑想アプリのひとつです。
瞑想に最適な音楽やナビゲーションも用意されていたり、瞑想の記録を残す
こともできますよ。
また、4万ダウンロード突破の「relook」は、マインドフルネス瞑想に
ぴったりな今大注目の無料瞑想アプリ。
ボイスヨガの開発者や臨床心理士、ヨガインストラクターなど
専門家が監修したコンテンツが100種類も揃っているので、
瞑想初心者にもおすすめです。
さらにApple Watchを身に着けながら、手首に振動を感じられる
「呼吸アプリ」は、気軽に瞑想を習慣化するのに役立ちますよ。
iPhoneユーザーにもおすすめです。
マインドフルネス瞑想はいつ・どのくらいやるのが効果的?
マインドフルネス瞑想は、好きな時間帯にいつから行ってもかまいません。
ただし、実践する時間帯によって目的は異なります。
朝:感覚や頭の中をクリアにして1日をスタートさせたい時
昼:高ぶった感情を落ち着かせて軌道修正したい時
夜:その日起こった体験や情報を整理しリセットしたい時
もちろん、朝昼夜3回瞑想を行うのも良いでしょう。
瞑想初心者であれば、賑やかな場所は避け、静かで、
寒すぎず暑すぎない場所で行うのがベストです。
毎日5〜10分から始めると良いでしょう。
マインドフルネス瞑想の効果が出るまでの期間は?
一概に「瞑想を行った人が全員同じ効果が実感できる」とは
言い切れませんが、現在さまざまな論文で証明されているのは、
2ヶ月間毎日マインドフルネス瞑想のトレーニングを続けると、
何かしらの効果が実感できると言われています。
いっぽう短期間でも効果が出るという論文もあります。
つまり、効果が実感できる期間は、人によってまちまち、
ということです。
最初は5分からでも構わないので、瞑想を習慣付ける意味でも、
毎日継続することをおすすめします。
まとめ
マインドフルネス瞑想はもともと治療法のひとつとして
効果が期待されていますが、生活の質を高め、
より良い人生を送るためにも効果的な方法と言えそうですね。
瞑想は、毎日実践することでその効果を発揮します。
まずは短い時間から、ライフスタイルの一部として取り入れてみては
いかがでしょうか。
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