今年も湧いたアカデミー賞!過去最多のノミネート16作品から選ぶNETFLIXオリジナル映画

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ちゃっぴー

カフェやBar、レストランやお花屋さんから、野外上映など様々な場所で映画鑑賞体験を提案。音楽や食、刺繍などとコラボ。10名程度の小規模の定期開催から大規模上映まで各種開催、その回数年間100回以上!


旅する映画館 café de cinémaを主宰するワタクシ、ちゃっぴーが、

NETFLIXオリジナルを中心にピックアップ作品を紹介します。

 

4月25日(現地時間)に開催された、第93回アカデミー賞受賞式。

例年に比べ2ヶ月遅れての開催となった今回、これまで開催された各受賞式などは、

新型コロナウイルスの影響を受け大幅に開催スタイルを変更してきている中、

映画の祭典アカデミー賞は、会場をこれまでのドルビー・シアターから、

ダウンタウンのユニオン駅を授賞式のメイン会場として、

ドルビー・シアターをはじめ、複数の会場に分散、

海外にも中継所が作られました。

なにより、構成としてこれまで大トリだった作品賞の後に主演女優、

主演男優賞の発表があるなんて!

 

また、アメリカでは約1年間大手映画館を中心に興行を中止していた

せいもあってか、小規模ながら娯楽性よりも作家性の強い作品が

多くノミネートされている。

さらにこれまでは出品条件として、ロスアンゼルスの映画館で

1週間以上公開されることが長年のルールとされていたが、

今回は緩和され映画館での公開をせずにVOD等で公開された作品も

出品対象とされた(ただしこれは一時的な救済措置となる模様)。

 

そのため、今回のノミネートには多くはVODサービスのオリジナル、

または先行配信された作品を目にする結果となった

(作品賞の約半数がVODサービスのオリジナル作品!)。

 

その中で、NETFLIXはオリジナル作品から16作品38部門へのノミネートと、

過去最多のノミネート数をはたし、存在感を大きくアピールしています

(受賞は4作品6部門)。

 

今回はその中から、作品賞、短編アニメーション映画賞(受賞!)、

短編ドキュエメンタリー映画賞へのノミネート作品から1本ずつ紹介します!

 

1968年反戦を訴えるデモ隊と警官隊の衝突が原因で裁かれた”シカゴ・セブン”の闘いを描く『シカゴ7裁判』

1968年のニクソン大統領誕生に先立つ民主党大会に、

反戦を訴えるデモ隊と警官隊の衝突を扇動したとして裁かれた

”シカゴ・セブン”の闘いを描く。

監督・脚本は『ソーシャル・ネットワーク』『マネーボール』等

実話映画の脚本を手掛けてきたアーロン・ソーキン。

実話社会派の映画はまさに真骨頂。

2020年10月9劇場公開、10月16日より配信開始作品。

作品時間:2時間10分

 

あらすじ

望まない戦争、大規模デモ、激しい衝突。

正義を求めて街に繰り出し戦った彼らが、米国司法史に名を残す。

 

ちゃっぴーオススメポイント

冒頭、当時のテレビ映像とともに、アメリカがベトナム戦争の

泥沼に陥っていく様子が「徴兵」多くの若者が徴兵され、

派兵されていく映像と、キング牧師の暗殺などを通じて当時の様子を伝えていく。

 

場面は変わって民主党大会の5ヶ月後、ニクソン大統領就任後になり、

シカゴ・セブンの裁判を中心にストーリーは進む。

それぞれ連携もなければ仲間意識が強いわけでもない、

7人(冒頭は8人)が被告として裁判が開かれようとしている。

民主社会学生同盟のリーダー、青年国際党員、ベトナム戦争終結運動のリーダー、

デモ参加者、ブラックパンサー党員。

 

彼ら8人(途中でボビー・シールは審議無効となり裁判からは退出し

シカゴ・セブンとなる)は、反戦を訴えデモを行うも、

実際は正統な手続きを踏む努力を行っていたことが映画の中でも述べられています。

 

しかし、「忖度」が働いた当時の役人の対応や、

警官たちの過剰な対応に対して徐々に集会を行う反戦派たちも

エスカレートしていく姿はみてとれる。

これは集団行動における統制の難しさというべきか、

それでも政府側もデモ隊にスパイを忍ばせたりと、かなりやり方がえげつない。

そんな当時の状況を差し込みながら裁判は政府に忖度した司法長官の意の元、

まともに進めようとしない裁判官や検事らとの闘いを描いていく。

 

1968年という時代、そして司法における正義とは何か。

まさにアーロン・ソーキン監督脚本による、社会派ドラマに仕上がっている。

 

実際の事件をモチーフに語られる短編アニメーション映画『愛していると言っておくね』

12分という時間の中に込められた想い。

アニメーションという手法によって表現されるある家族の物語。

短編アニメーション映画賞を受賞。2020年11月20日配信開始。

作品時間:12分

 

あらすじ

学校で銃乱射事件が発生し、突然の悲劇で我が子を失った

悲しみと虚無感にさいなまれる両親の心のうつろいを描く。

 

ちゃっぴーオススメポイント

はじめにタイトルを観たとき、なんとなく予感するものはあった。

そして、観て、12分の中に詰め込まれた想いを感じ、

その意味を知った時の衝撃は、思った以上に大きく心に響いた。

 

繊細な絵だけれども、どことなく哀愁が漂う。

会話もなく(全編通じてセリフもない)、お互いの表情や家に残されたもので、

徐々に何が起きたか明らかになっていく。

夫婦は娘を失い、その喪失感に囚われている。

まだ、娘の存在を感じさせる家の傷、娘の洋服、

そして彼女が聞いていたレコードから流れるKing Princessの『1950』。

想い出す娘との楽しい日々と、あの事件。観ていて、所々に胸が詰まる、

そんな切ないストーリーが紡がれています。

 

全編モノクロながら、ところどころに色彩で描かれたモチーフ。

本人たち以上に雄弁に今を語る影。

短い作品の中で伝えるための演出も繊細で素晴らしい。

実際に銃乱射事件を元に制作され、残された家族(人々)の想いに向かい合った作品。

 

ロス暴動のきっかけになった少女の人生を綴った短編ドキュメンタリー映画『ラターシャに捧ぐ〜記憶で綴る15年の生涯〜』

彼女の思い出と記録を紐解きながら、15歳で生涯を終えた

ごく普通の少女の等身大の姿を浮かび上がらせる。

政治的社会的な視点ではなく、言われもなき暴力で命を奪われた

少女の想いを紡ぐ従姉妹と親友が、彼女を語る。

2020年9月21日配信開始。

作品時間:19分

 

あらすじ

1992年のロサンゼルス民衆蜂起の火種のひとつとなった少女の射殺事件。

その被害者ラターシャ・ハーリンズの夢と15年の人生を思い出でつづるドキュメンタリー

 

ちゃっぴーオススメポイント

ロス暴動のきっかけと言われることもあるが、

何よりもその政治的社会的な注目より、ただ1人の少女が15歳という若さで、

そしてジュースを買おうとした際の行き違いから銃殺されるという、

何気ない日常の真横で起こる悲劇を明らかにしている。

 

映画では彼女が想う夢や将来が語られている。

そこではごく普通の、1人の女の子であり、夢があり、未来があり、

生きる意欲で満ちている。

歴史の影、事件の後ろに隠れてしまった1人の人間にフォーカスを当てた作品。

 

NETFLIX作品盛りだくさんのアカデミー賞

今回紹介した短編2本は奇しくもテーマがシリアスですが、

それでも前向きな作品でもあり、何より普段あまり接することが少ないので、

紹介しました。

 

今回のアカデミー賞では既にここで紹介した『Mank/マンク』や

『ミッドナイト・スカイ』もノミネートや受賞をしています。

 

第93回アカデミー賞にノミネートされたNETFLIXオリジナル映画は下記の通り。

見応えたっぷりですのでぜひこの機会にご覧ください!

 

Mank/マンク

<受賞>

撮影賞/美術賞

 

<ノミネート>

作品賞/監督賞(デヴィッド・フィンチャー)/

主演男優賞(ゲイリー・オールドマン)/助演女優賞(アマンダ・セイフライド)

作曲賞/音響賞/衣装デザイン賞/メイクアップ&ヘアスタイリング賞

 

シカゴ7裁判

作品賞/助演男優賞(サシャ・バロン・コーエン)

脚本賞/撮影賞/編集賞/歌曲賞

 

マ・レイニーのブラックボトム

<受賞>

衣装デザイン賞/メイクアップ&ヘアスタイリング賞

 

<ノミネート>

主演男優賞(チャドウィック・ボーズマン)/主演女優賞(ヴィオラ・デイヴィス)/美術賞

 

この茫漠たる荒野で

撮影賞/美術賞/音響賞/作曲賞

 

ヒルビリー・エレジー -郷愁の哀歌-

助演女優賞(グレン・クローズ)/メイクアップ&ヘアスタイリング賞

 

私というパズル

主演女優賞(ヴァネッサ・カービー)

 

ファイブ・ブラッズ

作曲賞

 

ザ・ホワイトタイガー

脚色賞

 

ミッドナイト・スカイ

視覚効果賞

 

これからの人生

歌曲賞

 

ユーロビジョン歌合戦 ~ファイア・サーガ物語~

歌曲賞

 

フェイフェイと月の冒険

長編アニメーション映画賞

 

愛してるって言っておくね

<受賞>

短編アニメ-ション映画賞

 

オクトパスの神秘: 海の賢者は語る

<受賞>

長編ドキュメンタリー映画賞

 

ハンディキャップ・キャンプ: 障がい者運動の夜明け

長編ドキュメンタリー映画賞

 

ラターシャに捧ぐ ~記憶で綴る15年の生涯~

短編ドキュメンタリー映画賞

 

オクトパスの神秘: 海の賢者は語る

<受賞>

長編ドキュメンタリー映画賞

 

ハンディキャップ・キャンプ: 障がい者運動の夜明け

長編ドキュメンタリー映画賞

 

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