泊まらないホテルの新しい活用法

この記事をかいた人

ととろん堂

フリーライター 兼 現役大型バス運転士として東京下町を徘徊中


もしあなたが、世間に名の通った大文豪だったとしたら、

どこで仕事をしますか? 

令和の時代に、昭和や大正の雰囲気ただよう老舗(しにせ)旅館へこもる

文豪缶詰プラン」はいかがでしょう? 

 

宿舎に滞在中、原稿(持ち込んだ仕事)を仕上げるまでは館外に出ることを許されず、

部屋の外では、ブラック出版社の鬼編集者たちが、

「先生、原稿はまだですか?」と常に見守っています。

息抜きが必要になったら、劇団員が演じる

「館内で本妻と愛人が鉢合わせ」オプションも選択できるそうですよ。

 

「文豪缶詰プラン」はパロディ企画ですが

(参加希望者が途切れず、2019年から不定期で継続中)、

じつは今、ユーザーにとってのホテル活用法が

大きく進化しようとしています。

 

「自分ひとりのためだけに」旅行予約サイトを検索してみると、

思いがけない気分転換や、「働き方改革」の糸口が見つかるかもしれませんよ。

 

従来のホテルの使い方

これまで、ホテルがどのように使われることが多かったのでしょうか。

たとえば、

  • 自分や家族、友人の結婚式会場
  • 盛大な忘新年会(が開かれていた頃)のパーティ会場
  • コーヒー一杯で、じっくり会話を楽しみたい時のカフェ利用
  • 恋人や家族との遠距離旅行の滞在先
  • ビジネス出張先で、ひと晩くつろぎを得るための「止まり木」的な存在

など、いずれも非日常的な用途での利用が想定されています。

 

筆者が、5年前に、仕事上どうしても深夜に及ぶ活動をする必要があった時、

単身で仮眠を取るため、仕事場周辺でデイユース(昼間利用)可能な

施設を探した時は、ちょうどいいプランを見つけられませんでした。

 

それが、コロナ禍をへて、急速に非日常以外でも

日常で活用できる施設になりつつある、というお話です。

 

多くのホテルが提供し始めているデイユース・プラン

試しに、大手旅行予約サイトの検索画面で、

  1. 東京:東京駅・銀座・日本橋地区
  2. 大阪:梅田・淀屋橋・本町地区 

 

に絞って、日帰り・デイユースプランを提供する施設の

件数と価格帯を調べました。

該当件数は、

(1)東京:127軒、大阪:92軒で、

両地域を通じた最安値は1000円(ただし1時間のみ滞在可能)、

最高値は33,850円。

中央値( ≠ 平均値)は、両地域とも偶然【4,000円】となりました。

プランごとに滞在可能時間制限、利用可能な設備にばらつきがありますが、

おおまかにまとめれば、

都心ビジネスホテルで、泊まらない昼間利用の場合は、

1回4,000円程度で、3時間-9時間程度、客室を利用することが

できることになります。

 

泊まらずにホテルの客室を利用して、何をしますか? 

仕事用デスクと電源、ネットワークは整備されているため、

カフェなどで禁止される音声通話やPCビデオ会議を心置きなく行うこと、

家族に邪魔されないテレワーク、などが挙げられます。

 

そのほかにも、仕事や趣味の本を持ち込んで没頭するもよし、

ただ単にマインドフルネスを得るため瞑想にふけるもよし。

疲れたら、小一時間仮眠を取るためのフカフカなベッドが提供されます。

施設によっては

「最上階に男女別超軟水大浴場・サウナ・水風呂完備♪湯上りサービス実施中!」

というデイユースプランもあります!

 

ホテルのサブスクリプションや定住サービスも

さらに押さえておきたいのが、ホテルを日常の居住空間に変える

「サブスクリプション」や「定住サービス」。

代表的なサービスHafH(ハフ)では、

月間3泊9,800円(月間1泊2,980円のおためしプラン有)で、

シティホテルからリゾート施設まで、全国約1000軒の提携施設を、

既定泊数まで、お得に予約することができます。

 

ホステル(ドミトリータイプ)中心の

宿泊施設サブスクリプション・ホステルライフは、

月間3泊「お試しパス(月9,000円)」のほか、

家と宿泊施設「二拠点パス(月22,000円-)」、

宿泊施設に住民票を置くこともできる

「ホステル暮らしパス(月45,000円-)」も発行し、

より「住む」利用方法に力を入れているようです。

 

立地にもよりますが、月45,000円って、

まるで単身者アパートの月ぎめ家賃のようです。

 

さらに、洋画のセレブリティのように、

本格的なシティホテル暮らしを楽しみたいと思ったらホテルパス

このサービスでは、月ぎめの割安に設定された

宿泊料(+1万円前後の光熱費)をクレジットカード引落しで支払い、

ホテルの1部屋を月単位で借りることができるサービスです。

 

ホテルに「暮らす」メリットで大きなポイントは、

炊事や部屋掃除などの「家事」から開放されることです

(※希望すれば、キッチン付きの部屋を借りることもできます)。

 

毎日、もしくは数日に1回、ホテルお抱えの清掃員が

自分の部屋を清掃してくれるのは、

まるでメイドを雇ったような暮らし方ですよね。

さらに、各施設が宿泊者のために用意したコインランドリー、

自動販売機、スポーツジムや館内大浴場などの設備を

利用することも可能です。

毎朝フリーの朝食サービスを提供する施設もあるようですよ。

 

しかも、シティホテルは多くの場合、

駅近の便利な場所にあり、通勤や街歩きに便利。

これだけの利便性をかねそなえ、東京や大阪などの大都市圏でも

単身月額10万円前後からなので、

賃貸ワンルーム・マンションに暮らすよりはずっと快適です。

月単位でいろいろな施設に移り住むノマド生活者や、

自宅改装中の仮住まいなど、いろいろな目的に、

このホテル・サブスクリプション・サービスは活用されています。

 

日常生活の場となりつつあるホテル。

ホテルという空間が、急速に日常をささえる施設へと変わりつつあるようです。

普段の生活で、ちょっと考えが煮詰まった時など、

いきなり移り住んでしまうことは難しくても、

まずはホテル予約サイトの「日帰り・デイユース」コーナーで、

自分に合ったプランを探してみてはいかがでしょうか。

 

いまならきっと、お住まいの近くで、

手頃な施設のちょうどよいプランを見つけられるはずです。

驚くほどリモートワークもはかどって、

気分をリフレッシュすることができますよ。

 


読み込み中...

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です