私たちの身の周りにある生活必需品。
そうした多くのモノは、いつもそばにあり生活を潤してくれるものたち。
服、靴、カバン、食器、家電、文具、趣味のモノ、ガジェットまで、
手に入れやすい100円ショップのものから一流ブランド、
ハイテクなプロダクト製品に至るまで様々存在します。
改めて生活のあり方を考える機会を得た2020年の春。
デザインと企画の仕事をしていた経験値から、
モノを消費するにあたり、長く付き合える「飽きない心地よいデザイン」が
どういったものか?という視点で考えてみました。
年齢や環境変化で考えたいこと
私自身もそうでしたが、20~30代の頃は何かと
視覚的デザインにこだわりオシャレなブランドに執着しがち。
特にシングルの人たちにとっては、自分に使えるお金も時間も豊富にあり、
ファッション、インテリア、文具、ガジェット、服飾雑貨等々、
時代の流行に伴い際限なく興味と物欲を刺激するものに、
どこにお金をかけるべきか悩んだりするものです。
しかし、所帯を持つ、子どもが生まれるなど、様々な環境変化に伴い、
生活環境や経済面でのバランスを考えるとこれまでのようには、、
など現実的に考える人もいるはず。
そんなライフスタイルの変化の中で考えていきたいのが、
「飽きのこない心地よいデザイン」です。
ここで大切なのは、心地よさの見極めは、少し俯瞰的に考えるだけで簡単に実現できる
ということ。
欲しかった品物を購入する際、出会った瞬間に色・柄・形が好みで、
直感的な欲求を満たせる衝動買いもありですが、
この先も生活の中で永く付き合って行くものなのか、
一時的に消耗品と捉える短期的なものなのか。少し考えてみませんか。
考える時間が生み出すモノを選ぶセンス
セールだから、安いからと飛びついて失敗した。
という話はよく聞きますが、お金のかけ方もセンスの一つと言われるので、
モノが豊富に供給されている時代こそ自分の基準を持ち、
なるべく無駄遣いをしないように心掛けたいものです。
「飽きのこない」を英語に訳してみると「Timeless(タイムレス)」
=時間をかけて長く使うもの、時間が経過しても好ましいと思われるもの。
そんな解釈ができます。
また、基本的な考え方としてデザインは引き算と言われ、
見た目の意匠のことだけではなく使い手のことを考えられたものがそれに含まれます。
購入しようとする商品自体が
・今までそこにあったかのように意識させないデザインとなっているか。
・そのサービスや機能、操作方法は誰にでも理解できるものか。
個人的な好みではなく、それらを優先的に考慮し、
必要な機能やサービスを厳選していくことで自分が求めている
モノ・コトの本質を取捨選択していきます。
それは、日常的な買い物なら10分あれば落ち着いて考えられると思うのです。
・一見で飛びつかない。その場を離れてみて、それでもほしいと思えるか
・いままでなかったが、それが必要なのか
・今が買うタイミングなのか
もし、あなたが今、戸建てやマンションを買うとしたら慌てて購入しないと思うのです。
家族の生活に見合った環境・立地条件なのか。
年齢を重ねても過ごしやすい設計なのか。
広さや採光がどうなのか。
ありとあらゆる面から検討することでしょう。
それと同じく、金額の大小にかかわらず
日頃から考える時間を持つことも必要なのです。
センスがいいと言われる人たちは、考えることを経験として
積み重ねていると言えます。
新しい生活様式への対応を問われた今、
デザインすることについて考えてみるのも好い時間の過ごし方と言えそうです。
心地よさはデザインされている
”違和感を感じない心地よい”Apple製品
具体的に視覚的なデザインの話となると
Apple社の製品が代表として取りあげられますが、
Apple社 チーフ・デザイン・オフィサー、ジョナサン・アイブのインタビューによれば、
製品には「実用的な素材使い、使いやすさ、そして配慮(care)が求められている」と。
MacBook、iPhone、iPadを代表とする彼らのプロダクトも、
時代とともに見直され変化し、”使い手が違和感を感じることなく使用できる”
ことを目的とした「シンプル・コンパクト・活用シーンや用途がわかる」デザインの結晶。
しかし、Apple社の製品は決して安い買い物ではないはず。
なのに「欲しい!」と思えるのは見た目のデザインもさながら、
ユーザビリティが欲求を満たしてくれているからです。
引用元:VOGUE JAPANインタビュー記事https://www.vogue.co.jp/fashion/editors_picks/2018-11-20/saori-masuda
消費者目線の厳しい基準が生み出す心地よさ
大手スーパー西友のプライベートブランド「みなさまのお墨付き」。
商品開発の段階で、消費者の厳しい視点で一定の基準
(消費者テストで支持率80%という高品質で商品化)を設けています。
クオリティの高い基準を満たした品質の安心感と、購入しやすい安定した価格、
一目見ればすぐにわかるロゴマークまで、
まさに商品自体が消費者によって、消費者の立場で考えられたデザイン
そのものであると言えます。
(みなさまのお墨付きサイトhttps://www.seiyu.co.jp/pb/mo/?from=contents_recommend)
使い手が使うことを意識せずそこにある。
あのお店ならいつでも買えるという安心感。
視覚的デザインだけでなく、使い勝手や心地よさは
あらゆる角度からデザインされているのです。
こだわりすぎない自分らしい「定番」
洋服選びのポイント
実際に自分自身の生活を見つめてみるとどうかと言えば、
私の場合は、服を選ぶときにブランドは限定せず、
白・グレー・黒・青系 のシャツやアウターを基調(定番)にして、
シルエットや形のデザインといった要素は、
時代や年齢と(体型も!)共に変化するので価格が見合えば購入する。
といった感じです。
時々に好きな色の靴やバッグ、小物などの持ち物で
アクセントカラーを加えるように心掛けています。
そうすることで自分に合った心地よいものを選ぶことができています。
日頃外を出歩かなくてもネットショッピングで
お気に入りアイテムを事前にチェックしておき、
購入リストとして画像をフォルダに保存しておくなどすれば、
買うときの迷いも少なく倹約にもなりますね。
エコバック選びのポイント
一部業種でのレジ袋有料化に伴い、今後
マストアイテムとなりそうなエコバッグ(コンビニバッグ)。
素材・色・形・価格と様々ですが、私が使いやすいと感じるのは
やはりスーパーバッグ(レジ袋型)。
軽くてかさ張るお菓子の袋や箱を入れてもその形になじみ、
2Lのペットボトルや、人参・大根・玉ねぎなどの
重たい野菜も底抜けすることなく、
お弁当容器などの軽めで面積の広いものは、
底に入れて平らな状態で安定します。
比較的幅広の持ち手になっているデザインが多いので、
腕に下げても肩にかけても重量の負担が軽減できることは
いつものお買い物なら大事なポイントです。
「形」というベースとなるデザインが決まっていれば、
・軽くて丈夫な素材
・コンパクトにしまえる
・マチがあり、容量が入る
・何度も洗って使える
というように、形以外の要素を絞り込んで色・柄は自分の好みで選べばいいわけです。
どこかのブランドに限定して選ぶ必要はなく、
着あわせの良いもの、生活必需品でも新たに加えた時に
今の生活に馴染んでくれるプロダクト、
他のものと組み合わせるとより生活しやすく良くなるデザイン。
自分の定番を持つことで、
生活の中で自然と〝いつもそばにある心地よいもの〟
になってくれるはずです。
背伸びをせずデザインを取り入れよう
「飽きのこないデザイン」の特徴として、
単なる目新しさや見た目のデザインではなく、
余分な装飾を排して無駄のない形状・構造を追求した結果、
自然にあらわれるシンプルさ。
そうしたものの中に機能美が備わっているということだと感じます。
消費する立場でいえば、価格だけでなくモノの価値をどう判断するか
という思考と選ぶ基準を持つこと。
見た目の美しさ、カッコよさも大事なのですが、
素材や機能の良さを感じながら、生活に馴染み、役立てられるもの。
それこそがミドル世代のデザインの選び方ではないでしょうか。
年齢や時代、経済も、環境も世の中の基準と共に変わっていく
ことを受け入れつつ、
選ぶ基準や心地よさを考えることで、
あなたに合った「飽きのこないデザイン」が見つかるはずです。
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