暗号資産(仮想通貨)に興味のある人なら、
「NFT」という言葉を一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
クリプトアート(デジタルアート)や音楽、ゲームといった、
デジタル資産の一種である「非代替性トークン(NFT)」の流通量が、
2021年に入り爆発的に伸びています。
最近では「Beeple」として知られるアーティスト、
Mike Winkelman の作品 EVERYDAYS: THE FIRST 5000 DAYS
というコラージュ作品が、250年もの歴史がある
クリスティーズ・オークションハウスで、
69,346,250ドル(約75億円)で落札され話題に。
また、ツイッター(Twitter)社のCEOである
ジャック・ドーシー(Jack Dorsey)氏は、
自身の最初のツイートをNFT化してオークション販売。
約3億2,000万円で落札されました。
このように、NFTはアート作品にとどまらず、
いまやあらゆるカタチで高額取引されています。
今回は、NFTの仕組みから、デジタル資産がもたらす
これからのクリプトアートの未来についてわかりやすく解説していきます。
NFTって何?
連日メディアに取り上げられる「NFT」。
「NFT」とは、非代替トークン(non-fungible token)の略で、
直訳すると「代替え不可能なトークン」です。
※「トークン」とは、簡単にいうとブロックチェーン技術を使って発行された
仮想通貨のこと。
fungible(代替可能)な代表といえば「お金」。
たとえばAさんの1万円とBさんの1万円は同じ価値で交換したり使えますよね。
non-fungible(代替不可能)は、2つとして同じものがない
「唯一無二」なものを表しています。
非代替トークン(non-fungible token)はいわば、
一点モノであることを証明する「デジタル鑑定書」のようなものです。
同じものを無数に複製できてしまうデジタルデータを、
非代替トークン(non-fungible token)化することで、
贋作やコピー版の取引を防止したり、オリジナルであることを
明らかにすることができるのです。
NFTはアート作品だけじゃない
NFTは、クリプトアート(デジタルアート)に限らず、
さまざまな分野で取引されています。
ゲーム用のキャラクターやアイテム
NFTが最初に注目されるきっかけとなったのが、
2017年にリリースされた「CryptoKitties」という暗号仔猫。
デジタルの仮想猫をコレクションし、購入や売買、繁殖させることで
収益を得ることができるかもしれないオンラインゲームです。
暗号猫はひとつずつNFT化されていて、誰の猫であるか
所有権がすぐにわかるようになっています。
VR世界の土地
NFTでは、VR世界の土地も取引されています。
仮想空間内の土地を購入することで、ゲームプレイに参加できたり、
土地の一部をレンタルすることで収益を得ることができます。
音楽
ライブパフォーマンスが困難となった昨今、
ミュージシャンたちにとってもNFTの販売は、
新たな収入源となっているようです。
アーティスト、ジャスティン・ブラウ氏は、3年前に作ったアルバムをNFT化。
総額にして1160万ドル(約12億6000万円)を手にしています。
動画
NFTプラットフォーム「NBA Top Shot」では、
NBAの20秒のハイライトビデオを販売しています。
ダンクシュートなどのハイライトビデオなら、
今やいくらでも無料で観ることができるのに、
「所有権」を持つことこそがコレクターにとっての喜びなのでしょう。
NFTにはどんなメリットがあるの?
美術品やアート作品を収集するには、
ギャラリーやオークションハウスに出向き購入する、
という方法が一般的だと思います。
ところがNFT化されたクリプトアート(デジタルアート)は、
購入してもそこに現物はありません。
「目に見えないものや仮想現実の世界に、大金をつぎ込むなんて!」
と思う人も多いでしょう。
しかしNFT化されたクリプトアート(デジタルアート)は、
クリエイターやアーティストにとってもさまざまなメリットがあるようです。
NFTは発行者と所有者が一目瞭然
NFTは、単にインタネットのサーバー上に保管されているファイルではありません。
ブロックチェーンという新しい技術によって、販売するクリエイター(発行者)と、
購入するユーザー(所有者)が明確に管理されています。
※ブロックチェーンとは、ネットワークに接続した世界中のコンピュータが、
データを共有する大きなプラットフォームのこと
NFTは価値のコピーがされない
前述したように、ブロックチェーンによってNFTを発行したのが
誰なのかが明確になると、その作品が本物か偽物かが、
容易に識別できるようになります。
たとえばですが、「モナ・リザ」の完璧なコピーがあったとして、
鑑定書やオリジナルである証明がなければ、本物が偽物か見極めるのは
難しいですよね。
NFTであれば、デジタルデータそのものをコピーすることは可能でも、
オリジナルの価値そのものは、しっかりとブロックチェーン技術によって
守られていることになります。
NFTは転売できる
クリエイターやアーティストにとって、最も大きなメリットはここでしょう!
NFT化したクリプトアートは、販売して手元を離れてしまった後も、
収益を生み出してくれる可能性があるのです。
従来の取引であれば、100万円で売った作品が
その後数々のコレクターの手に渡って、1億円の価値になったとしても、
アーティストが受け取れるのは、最初に売った金額の100万円だけです。
いっぽうNFTは、発行者から作品が離れた後、第三者間で取引がされるたびに、
取引額の一部を受け取れるように設定することも可能です。
NFTはサイトやアプリ内で自由に見せることができる
NFTは、ひとつのサイトに限らず、さまざまなサイトやアプリで
公開することができるのも魅力の一つです。
従来だと、コレクションを多くの人に見てもらうためには、
ギャラリーなどに展示するしか方法はないですよね。
NFT化されたデジタル作品であれば、好きな場所(サイト)で、
好きなように自分のコレクションを自慢することもできます。
NFTは保管場所や保管方法に困らない
アナログのアート作品を手に入れたのなら、
作品の展示・手入れ・保存の方法についても気をつけなければいけません。
美術作品の多くは、紙や塗料、金属など多様な素材でできているため
保存方法を間違えれば、美術的価値がなくなってしまう恐れもあります。
その点、NFT化されたデジタルデータなら、
作品の保管場所や劣化に悩まされる心配がありません。
NFTは仮想通貨で取引される
NFTで取引されているものは実に多様で、価格も少額のものから
数億もする高額なものまでさまざまです。
実際に「NFTを購入してみたい!」という人も多いでしょう。
NFTはおもにEthereum(イーサリアム)というブロックチェーンで、
ETH(イーサ)という仮想通貨を使って取引されています。
NFTを発行したり買ったりするときにもETH(イーサ)が必要になります。
NFTに興味がある人は、仮想通貨取引所に口座を作って、
ETH(イーサ)を取引できるようにしておきましょう。
NFTが売買できる取引所やマーケットは?
仮想通貨取引所で口座を作ったら、実際にNFTが売買できる取引所をみてみましょう。
OpenSea
「OpenSea」は、世界で流通量が最も多いNFTマーケットプレイスの1つ。
世界中のNFTが取引され、イーサリアムのトークンを持っている人であれば、
だれでも自由に登録してNFTを売買することができます。
コインチェック
「NFTマーケットβ版」がスタートしたばかりのコインチェック。
日本最大級のブロックチェーンゲーム「CryptoSpells」と「The Sandbox」
で利用可能なNFTの取扱いを開始しました。
今後はゲームだけでなく、アートやスポーツなど幅広い分野にも期待大です。
Rarible(ラリプル)
「Rarible」は、誰でもアカウントを作成することによって、
NFTを売買することが可能。
初めてNFT取引をしてみたいという人も、始めやすいマーケットプレイスです。
「Rarible」では、RARIというトークンが発行されており、
マーケット上で活動すると付与されるシステム。
デジタル資産「NFT」の未来は明るい
従来のアートマーケットでは、なかなか陽の目を浴びれなかったという
アーティストやクリエイターも多いでしょう。
NFTは今後さらに加速して、アーティストやクリエイターの
新たな収入源として認知されていくことは必然。
購入者目線からすると「著作権の問題」など、課題はまだまだ多そうですが、
今後アートシーンがどのように変化を遂げていくのか、NFTに注目です。
コメントを残す