近年、LGBTにまつわる映画が続々と登場し、濃密なストーリーと高いメッセージ性で私たちに感動を与えてくれています。本記事では、レズビアンである私が本当におすすめしたい、人気のLGBT映画『リリーのすべて』と『キャロル』のあらすじや魅力をまとめます。当事者やそうでない人も楽しめる名作なので、「DVD何借りようかな～」と悩んでいる人は、ぜひ参考にしてみてください！
『リリーのすべて』と『キャロル』は世界の映画賞ノミネート作品
『リリーのすべて』『キャロル』は、どちらもアカデミー賞やヴェネツィア国際映画祭をはじめとする数々の名誉ある賞にノミネートされた話題作です。
ヴェネツィア国際映画祭、アカデミー賞受賞作品『リリーのすべて』
2015年にイギリス、アメリカ、ドイツ3か国で共同製作された『リリーのすべて』。
2005年頃女優ニコール・キッドマン監修による映画化が決定していた本作。
しかし、紆余曲折の末、トム・フーパーが監督に就任し、本格的に撮影が開始しました。
ヴェネツィア国際映画祭クィア獅子賞、アカデミー賞助演女優賞を受賞しています。
1926年のデンマーク。画家のアイナー・ウェイナー（エディ・レッドメイン）は、同じく画家の妻ゲルダ（アリシア・ヴィキャンデル）と暮らしていました。
しかしある日、絵のモデルとして、ゲルダに女装を頼まれたことから、彼は自分のセクシャリティが揺らぎ始めます。その後、アイナーは自分の心が女性であることをゲルダに告白し、世界初となる性別適合手術を受けることを決めるのでした。
主演のエディ・レッドメインの名演技に注目
『リリーのすべて』で一番注目すべきポイントは、エディの徹底した役作りです。
リリーになりたてのアイナーは解放感にあふれる一方、物語が進むにつれて落ち着いたファッションを好むようになります。こうした心の変化は、エディ自身が実際にトランスジェンダーの女性たちと対面し、そこで得た知識なのです。
さらに妻役のアリシア・ヴィキャンデルとも入念な打ち合わせを行っていたエディ。
お互いの役についての発見を教え合ったり、より強い絆を演出するために一緒に出かけたり、エディとアリシアの役に対する熱量は計り知れません。
濃密なストーリー、役者の高い演技力、美術の3テンポがそろった本作。内容自体は難しくないので、普段映画を見ない人でも楽しめるおすすめのLGBT映画です。
繊細な心理描写と衣装が魅力
ひとりの「女性」が「本当の自分」を見つけていく過程を丁寧に描いた『リリーのすべて』。本作の魅力は、繊細な心理描写と、衣装や舞台美術の美しさにあります。
夫のセクシャリティに驚きつつも、彼への変わらぬ愛情を貫き通した妻の献身的な姿には胸を撃たれます。主演のエディ・レッドメインの美しさと、見る人の心を見透かすような、神秘的な瞳が印象的です。
アカデミー賞で衣装デザイン賞、美術賞にノミネートされているだけあって、登場する衣装やインテリアもレトロで芸術的なものばかり。画面を見ているだけでうっとりしてしまいます…。
母として運命の女性と向き合った作品『キャロル』
2015年公開のアメリカ映画『キャロル』は、運命的な出会いをはたした2人の女性の恋模様を描いた作品です。
原作は、1952年に出版された、アメリカ人女性作家パトリシア・ハイスミスによる半自伝小説「The Price of Salt」。
1990年代にはすでに映画化の話も出ていましたが、映画化の権利や著作権をめぐる争奪により、製作は足踏み状態に。2013年にようやくドット・ヘインズを監督に迎え、本格的に撮影が開始されました。
舞台は、1950年代のニューヨーク。写真家を夢見るテレーズ（ルーニー・マーラ）は、職場であるおもちゃ売り場で、客として訪れた美しい人妻、キャロル（ケイト・ブランシェット）と出会います。
キャロルに一目惚れをしたテレーズですが、彼女には娘と離婚協議中の夫がいました。やがて娘の親権を狙う夫の策略により、2人の仲は引き裂かれてしまいます。
対照的な美しさを持つ2人の女優
『キャロル』は、2人の女性が運命的な出会いを経て、恋に落ちる様子がノスタルジックに描かれています。上品な色気のあるケイトと、清純な雰囲気のルーニー、対照的な美しさを持つ2人の抒情あふれる演技は、見る人すべてを魅了するでしょう。
ヒロイン2人の成長に注目
LGBT映画にありがちな「偏見との戦い」というテーマではなく、女性の強さや弱さ、そして自立心にフォーカスを当てた本作。
最初は自分でメニューを決めることのできなかったテレーズと、金銭的に自立できず夫と離婚できずにいたキャロル。2人が恋愛を通して、少しずつ自立していく姿を見ると、自然と勇気づけられます。
「夢があるけれど、迷いがある」「今の自分に自信が持てない」そんな悩みを抱えている人の背中をそっと押してくれるような作品です。気になる人はぜひ一度見てみてください！
美しい映像と繊細な心理描写に酔いしれる
２つの作品に出てくる彼女たちを見ると、自分らしく生きることへの勇気が湧いてきます。
日々の生活の中で行き詰まりを感じた時に見れば、新しい自分に出会えるきっかけになるでしょう。
今後もaroundではLGBT映画情報を発信していくので、ぜひチェックしてみてください！
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