
レズビアンであるaround編集者が人気LGBTQ映画を紹介する連続記事。
PART2は『チョコレートドーナツ』『ハンズ・オブ・ラヴ 手のひらの勇気』の魅力を語ります。
「LGBTQ映画ってどんなものがあるの?」「名前は知っているけど、見たことがない」という人はぜひ参考にしてみてください!
家族の絆に涙が止まらない『チョコレートドーナツ』
2012年公開のアメリカ映画『チョコレートドーナツ』。『チョコレートドーナツ』の脚本ができあがったのは1980年頃。脚本を務めたのはジョージ・アーサー・ブルーム。
彼は、ルディのモデルとなる男性の近所に住んでおり、彼が障害児を育てている姿を見て、本作の脚本を思いついたといいます。その後、映画化の話は難航し、2012年にやっと公開にたどり着きました。
舞台は1979年のカルフォルニア。ショーパブで口パク女装歌手として働くルディ・ドナテロ(アラン・カミング)は、ある日店を訪れた検事局のポール・フラガー(ギャレット・ディラハント)と恋に落ちます。
2人の絆が深まる中、ルディは同じアパートに住む、障害児のマルコ・ディレオン(アイザック・レイヴァ)と出会います。
マルコの母親は麻薬所持のため逮捕されてしまい、マルコは施設に入所しなければなりません。ルディとポールは協力して、マルコを法的に引き取ろうとしますが、偏見という名の弊害が彼らを引き裂くのでした…。
セクシャリティや血のつながりを超えた家族愛
本作の魅力は、ルディとポール、マルコ3人による、血のつながりを超えた家族愛です。
裁判の際、ルディが放った「私たちは彼がほしいんです。彼を愛しているんです」という言葉は、短いセリフながらも彼らの強い決意と愛情を感じます。
ルディとポールが望んだのは「家族がほしい」「人並の生活がしたい」といった利己的な望みではなく「愛するマルコとの生活」ただそれだけなのです。セクシャリティや血のつながりを超えた家族愛の美しさに、思わず涙がこぼれるような作品です。
主演アラン・カミングの歌声に注目
さらに注目すべきポイントは、アラン・カミングの魂揺さぶる歌声です。
ルディを演じたアラン・カミングといえば、1998年の舞台『キャバレー』でトニー賞を受賞した実力派俳優です。
バイセクシャルを公言していた彼は、1993年の離婚を経て、2007年に写真家の男性と同性婚を発表し、セクシャルマイノリティの先駆け的な存在となりました。
アランは本作で歌手を目指すルディを熱演しています。ショーパブで口パクパフォーマンスを披露しているだけなのに、なぜか惹きつけられてしまうような、高いカリスマ性を持つアラン。
ミュージカル映画ではないため曲数は少ないのですが、ひとつひとつの歌の密度が濃く、物語に深みを与えています。中でも一番心を打たれたのは、終盤で歌われるボブ・ディランのカバー曲「I Shall Be Released」。
厳しい現実に打ちひしがれながらも、懸命に前を向き「いつか解放される」ことを信じるルディ。アランのソウルフルな演技は、多くのセクシャリティの人に勇気をもたらすでしょう。
リアリティのあるテーマが魅力の『ハンズ・オブ・ラヴ 手のひらの勇気』
2015年公開のアメリカ映画『ハンズ・オブ・ラヴ 手のひらの勇気』は、同性パートナーにおける遺産相続の合法化までの道のりを描いたノンフィクション映画です。
2007年のアメリカ製作の短編ドキュメンタリー映画『フリーヘルド』をもとに作られた本作。2010年にはすでに製作が報じられていましたが、監督や出演者の交代により、公開まで約5年もの年月がかかりました。
舞台は2007年のアメリカ、ニュージャージー州。49歳の女刑事、ローレル・ヘスター(ジュリアン・ムーア)は、自動車整備工の女性、ステイシー・アンドレ(エレン・ペイジ)と出会い恋に落ちます。事実婚として2人で幸せな毎日を送っていましたが、ある日、ローレルが末期の肺がんであることが判明します。
ローレルは、23年間蓄え続けてきた遺産年金をステイシーに渡したいと群生委委員に訴えますが、当時の法律では、血縁関係のない同性同士が遺産相続できる法律はありませんでした。
現実的なテーマ設定
本作は、「権利」や「法律」をテーマに設定しています。
遺族年金をはじめとする、お金や家の権利など、お金にまつわる制度…。
かつての同性カップルはこれらが保証されていなかったことを、この映画で初めて知る異性愛者の人も多かったようです(日本では現在も認められていません)。
LGBT当事者がなぜ平等を訴えているのか。
具体的にどんなことに困っているのかをきちんと提示しつつ、人を愛することの尊さを描いた本作。
シリアスになりすぎてしまいがちなテーマを、温かな雰囲気で描かれているので「シリアスすぎる映画は苦手…」という人にもおすすめです!
戦い続けたヒロイン2人の強さに注目!
更にポイントは、ヒロイン2人の精神的な強さです。
本作の時代設定は2006年から2007年頃。
当時のアメリカには同性間のパートナーシップ制度はありませんでした。
「LGBTへの差別を辞めよう」という動きはあったものの、まだまだ偏見が根強く残っている時代です。
パートナーシップ法の改正に挑むには、並大抵の覚悟では足りなかったでしょう。
苦悩しながらも「愛する人を守りたい」と強い意志を持ち、戦い続けた2人。
その強さにあなたもきっと胸が熱くなるはず!
LGBT映画はまだまだたくさん!ジャンルごとにチェックしよう
『チョコレートドーナツ』と『ハンズ・オブ・ラヴ』は、どちらも実話から着想をえて作られた人気のLGBT映画です。
今回紹介した2作品以外にもロマンティックなラブストーリーや、涙なしでは見られないヒューマンドラマ、はたまた笑って泣けるホームコメディまで、様々なジャンルのLGBT映画がたくさんあります。
今後もaroundでは、話題のLGBTQ映画をピックアップしていくので、ぜひチェックしてみてください!
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